デブリ取り出しは2号機から、福島第一原発の事故収束工程 政府が改定へ

 政府は12月2日、東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策チームの会合で、事故収束と廃炉に向けた工程表「中長期ロードマップ」の改定案を示し、廃炉作業の最難関とされる溶融核燃料(デブリ)の取り出しを、2号機から2021年中に始める方針を正式に明記した。31年までに1~6号機全基で、使用済み核燃料プールに残る燃料計4741体の搬出完了を目指すことも盛り込んだ。

首相官邸で開かれた東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策チームの会合=12月2日午前

 改定は5回目。事故から30~40年後とする廃炉完了目標は維持した。今後、各工程を精査して正式決定する。プール燃料全ての搬出完了時期を設定するのは初めてだが、これまでトラブルなどで作業の中断、遅れが相次いでおり、デブリ取り出しも含め順調に進むかどうかは不透明だ。
 会合で、チーム長を務める梶山弘志経済産業相は「復興と廃炉の両立を大原則に対策を進める」とあいさつした。
 2号機のデブリの本格的な取り出しを前に、性質や状態を調べるため本年度内に少量を試験採取するとしていたが、今回の工程表改定で、21年に予定する取り出し開始に合わせて実施すると変更。その後は31年までに取り出す規模を拡大していくとの目標を掲げた。
 使用済み核燃料は強い放射線を出し、冷却し続けなければ高温になり溶融する恐れがある。各号機の原子炉建屋内で未使用燃料も含めプールに沈めて保管しており、搬出した燃料は構内の共用プールに移し安定的に保管するが、最終処分先は未定となっている。
 事故当時に定期検査中だった4号機は全てプールからの取り出しを完了。炉心溶融を起こした3号機でも2019年4月、搬出が始まった。1、2号機の搬出開始はいずれも23年度をめどにしている。

搬出作業阻む高い放射線

 福島第一原発の「中長期ロードマップ」の改定案は、事故から30~40年後の廃炉完了目標を維持したほか、2031年までに全ての使用済み核燃料を原子炉建屋のプールから搬出する新たな期限を設けた。搬出は3号機で始まっているが、機器の不具合が続いており中断しており、作業は進んでいない。
 燃料搬出は、4号機が14年に完了。しかし炉心溶融(メルトダウン)が起きた1~3号機は放射線量が高く、水素爆発によるがれきにも阻まれて難航している。3号機での搬出作業が4年遅れで今年4月に始まったが、機材トラブルなどが相次いでたびたび中断している。
 搬出準備をしている1号機では、想定以上に多くのがれきが残っていることなどが判明。ほこりの飛散などを抑える新たな大型カバーの設置案が検討され、作業開始はさらに遅れる可能性が出ている。
 改定案では、本年度予定していたデブリの試験採取が先送りになった。政府の担当者は「目標である21年からの取り出しを確実にするための見直しだ」と強調するが、デブリの全貌は把握できておらず、放射性物質の飛散を防ぐ仕組みの具体化など課題が残る。

2号機デブリ、1グラムから1日数キロの搬出へ段階的に拡大を計画

 東電と政府は、福島第一原発2号機で2021年中に開始予定の溶融核燃料(デブリ)取り出しについて、まず1グラム程度を試験的に数回取り出した後、搬出量を1日当たり数キロにまで段階的に拡大し、数年間搬出を続ける工程を検討している。関係者への取材で分かった。
 ただ形状や堆積範囲など未解明な点も多い。全量搬出への作業は困難を極めるとみられ、デブリは2号機だけで237トン、1~3号機では計880トンに上るとの推計がある。
 関係者によると、2号機の取り出し作業では、原子炉格納容器側面の貫通部からロボットアームを挿入。こすり取ったり吸い込んだりして少しずつ採取を始め、性質や状態を分析する。作業内容を精査し、搬出量が1日当たり数キロに増えた後は、マジックハンドのような物でつかみ取る装置などを使うと想定している。

中長期ロードマップとは?

 東京電力福島第一原発の廃炉に向け、溶融核燃料(デブリ)や、使用済み核燃料プールに残る燃料の搬出スケジュールなどを示した工程表。2011年12月に政府と東電が策定し、作業状況などを反映して適宜、改定している。プールからの燃料搬出開始(13年11月)までを第1期、21年中を目標とするデブリ搬出開始までを第2期、41~51年が目標の廃炉完了までを第3期と位置付ける。

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