日本橋川でセシウム調査 広範囲の汚染まざまざ

危険とまでは言えないが、意外なほど蓄積

 自分たちの身の回りに、東京電力福島第一原発事故で放出された放射能はどれくらい残っているのだろうか。本紙は昨年に続き、東京湾や都心を流れる川の堆積物調査を進めている。今年は隅田川に加え、都内のど真ん中を流れる神田川や日本橋川も調べた。日本橋周辺の汚染は、危険なレベルとはいえないものの、意外なほど高かった。(山川剛史、小倉貞俊
 秋葉原、お茶の水、水道橋、後楽園、飯田橋、神田橋、日本橋…。
 神田川のほか、東京ドーム近くで分岐する日本橋川の汚染実態を調べるため、記者たちは川底の堆積物を採取する専用の採泥器と密封できるビニール袋を詰めたコンテナをカートにくくりつけ、橋という橋を徒歩で回った。
 八月下旬、猛暑が過ぎ去ったのを受けて取りかかったが、今度は秋の長雨にぬれての調査となった。
 「あ、何やっているんだろう。水の調査かな」。橋からロープで採泥器を下ろしていると、たちまち通行人たちの声が聞こえ、好奇の視線を背中に感じる。どちらの川も遊覧船や作業船がかなりの頻度で通るため、手早く進めないと危ない。通行人の質問にまともに答えられないまま、ロープから伝わる川底の感触を確かめながら、重い採泥器の引き上げ作業を続けた。
 神田川のほとんどの地点では、カツンと硬い手応えで、採泥器を何度下ろしても何も採取できない。放射性セシウムは有機物を多く含む泥にくっつき、川底にたまっていることが多い。何も採取できないということは、作業が徒労に終わったことも意味するが、汚染された堆積物がないという良い知らせでもある。
 流れはほとんど感じられないが、川の曲がりは少なく、橋脚など流れの障害物があまりないことが影響しているのかもしれない。
 一方、首都高速道路の橋脚が川の中に林立する日本橋川は状況がまるで違った。採泥器を下ろすと、ふわっとした感触が伝わり、上げると中には真っ黒な泥がたっぷり。温泉地のようなにおいがただよう。
 含まれるセシウム濃度はマップの通り。今すぐ何かが起きる汚染レベルではないが、日本の金融の中心地に、福島第一から飛んできた大量のセシウムが眠っているのも事実。あらためて原発事故の影響が広く及んだことを実感した。

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