避難指示の一部解除から半年 福島・大熊町の今

 東京電力福島第一原発事故で全町避難を強いられた福島県大熊町は、4月10日に一部地域で避難指示が解除されてから半年が過ぎた。町内で暮らす町民は10月1日時点で、100人に達した。しかし、医療機関がなく、日用品を買える店は仮設の3店舗しかない。
 10月中旬、町を訪ねた。黄土色に舗装された散策路や広場を囲み、公営住宅の白い壁が輝く。避難指示が解除された大川原地区などは町民の約4%しか住んでいなかった地域。帰還した人の大半は公営住宅に住む。平日昼、人通りはまばらだが、縁側の洗濯物に生活感が垣間見えた。
 住宅と町役場の間に、更地の区画があった。2020年2月に商業施設が開業し、20年8月に宿泊温浴施設などもできるはずだった場所。だが、入札の不調で、整備は約1年先延ばしになった。町は近くに診療所も建てる予定だが、開業はさらにその後の22年度中。福島県いわき市に一人で避難する主婦(82)は「病院がないと戻りたくても戻れない」と語る。
 一方、4月からイチゴの植物工場「ネクサスファームおおくま」が稼働し、8月に初出荷。町外出身の若者ら15人が今後、15万株のイチゴを栽培し、新たな名産品づくりを目指す。(福岡範行)

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