食用キノコ セシウム汚染は今 〜福島・飯舘村〜

 山に囲まれた福島県飯舘村は、豊かなキノコの産地でもある。東京電力福島第一原発事故は野生のキノコにどれほどの影響を与え続けているのか。10月初旬、地元住民の協力得て、山中に分け入り、マツタケをはじめ5種類のキノコを採取し調べた。キノコは放射性セシウム濃度が高くなりやすいことは分かっていたが、結果は予想を超えていた。

 汗だくになりながら険しい林を歩くこと1時間半、一呼吸入れようと足を止めたその時、松の落ち葉の間から大きなキノコが3本出ていた。
 「これ何てキノコですか?」。そう問う記者に、案内してくれた杉岡清光さん(78)が「それがマツタケだ。一番楽なルートを選んだが、見つかってよかった」と言った。にょきっと出ている姿を想像していたが、柄が半分以上埋まっていた。震える手で掘り出すとなかなか重量感がある。鼻を近づけると高貴な香りがした。感動の瞬間だった。
 別の日には林業志賀福明(よしあき)さん(81)の案内で、イノシシの鼻に似ていることからイノハナダケとも呼ばれるコウタケなども採取できた。恵みの秋を満喫させてもらった。
 だが、山は原発事故で汚染されたまま手つかずで、キノコは地中からセシウムを吸い上げ、どれも食品基準(1キロ当たり100ベクレル)を大幅に超えている。
 マツタケもコウタケも希少なキノコ。「シロ(採れる場所)は、親子の間でもなかなか教えない。そこに記者を案内。原発事故はシロの放棄を迫ったんだよ」。調査日程を調整してくれた伊藤延由(のぶよし)さん(75)の言葉が胸に刺さった。(山川剛史)

関連記事