緊迫の3日間 福島第一原発1、2号機排気筒解体

2019年9月4日付こちら原発取材班

 東京電力福島第一原発1、2号機のそばにそびえる排気筒(高さ120メートル)頂部の切断は1日で終わるはずだった。しかし、トラブルに次ぐトラブルで、丸1カ月かかった。原子力規制委員会の委員は「満身創痍(そうい)の完了」と振り返った。
 お盆前に筒本体の切断は、内側からの輪切りで何とか半周まで終わった。再開後は回転のこぎりの配線が外れて中止。万全を期した8月30日からの作業は、何度も通信障害で切断装置の遠隔操作ができなくなり、切断が進むほどに筒本体の重さが刃の上にのし掛かり、切り進めなくなった。
 輪切りが9割も進むと、筒本体の強度不足で装置を外して下ろせず、退路を断たれた。刃の摩耗は進み、装置の発電機の燃料が尽きた。予備発電機も使えず、3.11を想起させる「電源喪失」に陥った。
 作業員が乗った鉄製のかごを別のクレーンでつり上げ、装置に給油させる非常手段を取るしかなかった。
 電源が復旧しても、切断装置の刃は交換できない。最後の1枚が使えなくなれば、作業員を上げて人力で溶断するしかないところまで追い込まれた。
 何とか最後の刃は持ちこたえ、切り離された頂部(高さ2.3メートル)が地上に下りた。東電は「予備の設備もある。休日も使えば、年度内に作業は終えられる」と強調。立ち止まって作戦を練り直さねば、また危機的な状況を招きかねない。(山川剛史、小川慎一)

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