1、2号機排気筒やっと切断、「1日」が「1ヵ月」 福島第一原発

 東京電力は9月1日、福島第一原発1、2号機原子炉建屋そばに立つ排気筒(高さ120メートル、直径3.2メートル)の解体作業を続け、筒頂部から本体2.3メートル分を輪切りにして大型クレーンで地上に下ろした。1日で終わるはずだった最初の輪切り作業に1カ月を要した。この間、機器の不具合が頻発。来年3月までに上半分の解体を目指すが、作業工程の見直しは避けられない。(小川慎一)

刃の摩耗や切断装置の燃料切れもあったが、ようやく切り離された福島第一原発1、2号機排気筒頂部=福島県浪江町から望遠レンズで(山川剛史撮影)

工程見直しは不可避

 東電によると、8月31日午後7時半ごろ、筒頂部にクレーンで設置した切断装置の発電機が燃料切れで停止。予備の発電機の起動も確認できなかった。前日30日朝から稼働していた切断装置の全電源を失ったと判断したという。
 翌1日午前6時前、別のクレーンで作業員3人が乗った鉄製のかごを高さ120メートルまでつり上げ、作業員が筒頂部の装置に乗り移って給油した。その後、発電機を再起動して午前11時52分から切断を再開。装置に付いている回転のこぎりで70センチほど残していた輪切り部分を、午後3時7分に切り終えた。
 切断装置と一緒に地上へ下ろした筒本体の重さは約4トン。今後、2~4メートルのブロックに分けて高さを半分にする。別の装置で損傷が激しい鉄塔の支柱も切断する必要があるが、本番での使用経験はまだない。
 作業が難航した理由の一つは、回転のこぎりの刃の摩耗が東電の想定より早かったためという。筒本体は7割以上輪切りにすると、強度を保つために装置を外せず、刃の交換ができなくなる。東電は地上に下ろした筒本体の材質を分析し、今後の計画に役立てる。

地上に下ろされる福島第一原発1、2号機排気筒の頂部(山川剛史撮影)

予備の発電機「実は起動」と東電公表

 東電は9月2日の会見で、切断装置に備え付けていた予備の発電機について、作業員が8月31日早朝の給油作業で確認した時に起動していたと明らかにした。しかし、排気筒から200メートル離れた遠隔操作室内では、起動を確認できていなかった。このため、東電は給油作業をする前まで、切断装置が電源喪失した状態にあると判断していた。

規制委「リスク高かった」、排気筒解体の工程見直し求める

 東京電力福島第一原発の事故収束作業を検討する原子力規制委員会の会合が9月2日、都内であり、1、2号機建屋そばに立つ排気筒(高さ120メートル)の解体作業でトラブルが続いたことに懸念や工程見直しを求める意見が相次いだ。規制委の伴信彦委員は「満身創痍(そうい))で完了した印象。一度立ち止まるべきでは」と指摘したが、東電は9月中も作業を続ける方針を示した。

東電は9月中の作業続行を強調

 東電は2020年3月までに、損傷の激しい排気筒の高さを半分にする予定。8月1日に始まった解体作業は切断装置の不具合が頻発。1日で終わるはずだった上端から約2.3メートル分を輪切りにする最初の切断は9月1日にようやく終わった。
 8月31日に切断装置の発電機が燃料切れで停止。東電の担当者は会合で、その後に予備発電機の起動を確認できなかったことを自ら説明せず、資料にも記載しなかった。
 現場で立ち会った規制委事務局の原子力規制庁職員が補足説明し、作業員3人が乗った鉄製のかごを別のクレーンでつり上げて切断装置上で給油した作業を「非常にリスクが高かった」と指摘。切断装置の回転のこぎりが想定より早く摩耗が進んだことも問題視した。伴委員はトラブルの原因を特定するためにも、一度作業を中断する必要があると強調した。
 しかし、東電は9月中に筒上端から2~3メートル分の輪切りを3回実施する計画を提示。福島第一廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は「道具をいかに使うか、今回いろいろ得たものがある。予備設備があるメリットも生かしたい」と作業を急ぐ考えを示した。

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