東電が柏崎刈羽原発の一部廃炉検討も、6、7号機再稼働条件に

 東京電力の小早川智明社長は8月26日、新潟県柏崎市の桜井雅浩市長と面会し、柏崎刈羽原発について「6、7号機の再稼働後5年以内に、1~5号機のうち1基以上の廃炉も想定したステップを踏む」と伝えた。東電が同原発の廃炉の可能性に言及したのは初めて。桜井氏は2年前から再稼働の条件として、1~5号機の廃炉計画の提出を求めていた。

新潟県柏崎市の桜井雅浩市長(左)に、柏崎刈羽原発の廃炉要請に対する回答書を手渡す東電の小早川智明社長=8月26日午前、柏崎市役所

 桜井氏は面会後、記者団に「廃炉のステップを踏む時期が少し遅くなり、満点の回答ではない。落第点ではないが、平均点までいっていない」と長期化に不満を示した。
 小早川氏は廃炉の確約はせず、基数や号機の具体的な特定も避けた。6、7号機は安全対策工事中だが、7号機の終了予定は2020年12月、6号機は未定で、再稼働時期の見通しは立っていない。
 東電の回答では、1~5号機は現時点で必要な電源だと強調。その上で、計画中の青森県の東通原発や千葉県銚子沖の洋上風力発電など、温室効果ガスをほとんど出さない非化石電源を十分に確保できる見通しが付くことに加え、柏崎刈羽原発6、7号機が再稼働することを、廃炉検討の条件に挙げた。
 桜井氏は今後1カ月程度かけて東電の回答を検討し、6、7号機の工事への地元企業の参入状況の開示など、再稼働に新たな条件を付ける考えを明らかにした。
 桜井氏は17年6月、廃炉計画を2年以内に提出するよう東電に求めると表明。「基数、号機、期限の三つとも入らないのは計画とは呼ばない」とし、数字を明記するよう求めていた。
 6、7号機は17年12月、再稼働に必要な原子力規制委員会の審査で新規制基準に適合した。

【解説】原発固執、廃炉確約なしの「先送り」回答

 福島で世界最悪レベルの事故を起こしてもなお、原発にしがみつく東京電力の姿勢は変わらない。新潟県柏崎市長から求められた柏崎刈羽原発1~5号機の廃炉計画について、東電の小早川智明社長が26日に市長に回答し、公表したA4判4枚の文書では、原発の必要性を強調し、廃炉を確約しなかった。
 「柏崎刈羽6、7号機が再稼働した後、5年以内に、1~5号機のうち1基以上について、廃炉も想定したステップを踏んでまいります」。東電は文書でこう言及した。6、7号機が再稼働しなければ、廃炉は検討しないと読める。
 しかも、文章の前段では「十分な規模の非化石電源の確保が見通せる状況となった場合には」という条件も加えた。東電は今後10年間で千葉・銚子沖が拠点の洋上風力などによる再生可能エネルギーで原発2、3基分の二酸化炭素の排出が少ない非化石電源の確保を目指すという。ただそれができなければ、6、7号機が再稼働しても東電が示したステップに入れない。
 非化石電源の確保には、建設が進まない東通原発(青森県)や受電契約を結ぶ日本原子力発電東海第二原発(茨城県)も頼りにするが、どちらも稼働の見通しは立っていない。クリアできるか分からない条件を並べた回答は「先送り」でしかない。(小川慎一)

東京電力柏崎刈羽原発=新潟県

柏崎刈羽原発とは?

 東京電力が所有し、新潟県柏崎市と刈羽村にまたがって立地する。福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉が計7基あり、総出力821万2000キロワットは世界最大規模。6、7号機についての原子力規制委員会の審査では、設備の安全性に加え、事故を起こした東電に原発事業者としての適格性を認めるかどうかが議論となった。2017年12月に新規制基準に適合し、再稼働に必要な地元同意を得られるかどうかが焦点。07年の新潟県中越沖地震では想定を大きく超える揺れを記録した。以後約12年間、2~4号機は稼働していない。

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