苦闘する排気筒解体の現場 福島第一原発

 東京電力福島第一原発の1、2号機原子炉建屋そばに立つ排気筒(高さ120メートル、直径約3メートル)の解体作業が、8月1日に始まった。事故当初、1号機原子炉格納容器の破裂を防ぐため、炉内にたまった高濃度の放射性物質を含む汚染蒸気を排出。中央部の支柱には複数の損傷がある。放射線量が高い現場は人が容易に近づけず、専用の切断装置を遠隔操作する前例のない作業。想像以上の難しさに直面している。(小川慎一、山川剛史)

19年8月14日付紙面

初日からトラブル

 解体は出だしからトラブルに見舞われた。1日、排気筒上部の外側にあるはしごや電線管を切断する作業だったが、切断装置の油圧式のペンチを備えたロボットアームが動かない。無線通信の不良が原因だったとみられる。修理して切断装置を再びつり上げ、何度も位置を調整しながら筒上端に設置。深夜11時ごろまで作業が続いた。
 筒身(筒の本体)の切断は2日に予定されていたが、早朝までに作業員2人が熱中症となり、作業は中止に。再開した6日には、やり残した電線管を切断した。

筒本体の切断は8月下旬に延期

 7日、筒身を内側から輪切りにする作業に入った。半分近く切り進めると、回転のこぎりの切れ味が急に鈍くなり、想定外の刃の交換を迫られた。習熟してきたとはいえ、装置のつり上げには40分、つり下ろしには20分はかかる。トラブルのたびに、修理や点検で装置の上げ下げが必要となる。
 元の切り口に回転のこぎりの刃を合わせる作業も難航した。切断を再開しようとすると、今度は四つあるのこぎりの一つが動かない。結局、作業中止を余儀なくされた。
 のこぎりの切れ味が悪くなったのは、鉄板をつなぎ合わせた筒の溶接部分とその周辺が想定以上に硬かったからだ。板に向かって力を加える「押し切り」をしなかったため、刃が急速に摩耗して、モーターも損傷した。
 筒本体の切断作業は8月下旬まで延期に。2020年3月までに高さを半分にする計画だが、現場の苦闘は続く。

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