福島第一汚染水どう処分?政府の有識者会議7カ月ぶりに開催

 東京電力福島第一原発で汚染水の浄化処理後も残るトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分を検討する政府の有識者会議が8月9日、東京都内であり、水の長期保管が初めて議題となった。東電は敷地内の保管継続は困難という理由を列挙。だが、委員から東電の資料や説明が不十分と批判があり、7カ月ぶりに再開した会議は議論はほとんど進まず終わった。次回の開催時期も決まっていない。(渡辺聖子)

福島第一原発で増え続ける汚染水の処分方法を検討する政府の有識者会議=東京都港区で

東電主張に批判相次ぐ

 浄化処理後の水の長期保管は、昨年8月に福島県と東京都で開いた公聴会で多くの参加者から意見が出たため、議題に追加した。これまでは海洋放出など五つの処分方法案を前提に、水の扱いを議論してきた。
 東電は会合で、浄化処理後の水を保管するタンクの容量が、2022年夏ごろに限界を迎えるとした試算を説明。敷地をタンクで埋め尽くす状態では、1~3号機原子炉から取り出す予定の溶融核燃料(デブリ)を一時保管する施設が造れないなどとして、保管継続の難しさを強調した。
 これに対し、消費生活アドバイザーの辰巳菊子委員が「初めから敷地がない、タンクが満杯という議論の仕方は違うのではないか」と指摘。今後の敷地の利用計画を示す資料も配布されなかったため、東電の松本純一廃炉推進室長が「相当不十分な点があり、申し訳ない」と謝罪した。
 福島大教授の小山良太委員は、除染で出た土の中間貯蔵施設となった隣接地を取得してタンクを建設できないのかと質問。松本室長は「不可能ではないが、敷地内で廃炉をやり遂げたい」と答えるにとどめた。別の委員からは、保管の議論と並行して「処理方法の道筋をつけないと廃炉は進まない」との意見も出た。
 7カ月ぶりの会合再開について、事務局の経済産業省資源エネルギー庁の担当者は「準備に時間がかかった」と釈明。次回について「もう少し早い間隔で進めたい」と話した。
 タンクの水の扱いを巡っては、有識者会議の判断を参考に政府が方針を決める。ただ、地元漁業関係者を中心に海洋放出するような処分に強く反対している。

東電「タンクは22年夏ごろに限界」

 東京電力は、福島第一原発で汚染水の浄化処理後も残るトリチウムなどの放射性物質を含む水について、タンクでの保管が2022年夏ごろに限界になると試算。タンクを大型にするなどして保管容量を増やすのは困難として、敷地内での長期保管には後ろ向きで、限界の期限を示して有識者会議に処分案の早期選定を促しているともいえる。
 保管中の水は7月末時点で約115万トン。タンク容量は20年末までに敷地内に137万トン分を確保する計画だが、それ以降は白紙だ。汚染水を浄化処理した水は1日に150トン前後増えるペースが今後も続く。
 東電は政府の有識者会議で、敷地内にあるタンク(1基1400トン)より大容量の10万トン級のタンクを造ったとしても、設置工事や整備でスペースが必要となり、保管容量の増加にはつながらないと説明。敷地外での保管は、移送が難しく周辺自治体の理解も必要となり、現実的ではないとしている。
 また、今後取り出す溶融核燃料(デブリ)などを保管するのに最大約8万平方メートルの確保が望ましく、タンク38万トン分の敷地に相当。資機材保管場所も含めればさらにスペースが必要としている。

構内には高さ10メートルの巨大なタンクが立ち並び、高濃度汚染水を浄化処理した後の水など110万トン超を保管している(代表撮影)

福島第一原発の汚染水浄化処理後の水とは?

東京電力福島第一原発では、溶け落ちた核燃料がある1~3号機の建屋内に注ぐ冷却水と、流れ込んだ地下水が混ざって高濃度の放射性物質を含む汚染水となり、増え続けている。汚染水は多核種除去設備(ALPS)で浄化処理しているが、放射性物質のトリチウムは除去できず、他にもしきれない放射性物質が混ざっている。トリチウムは人体への影響が比較的小さいとされ、他の原発では希釈して海に放出している。

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