停電で所内電話一部通じず 復旧遅れの原因に 福島第一 

 東京電力福島第一原発で十八日夜に同時多発的に起きた停電事故で、東電が復旧に手間取ったのは、原発内の主要な連絡手段の簡易型携帯電話(PHS)が十分に使えず、状況把握が遅れたことが大きな原因だったことが東電への取材で分かった。特に事故の元凶となった3号機山側の仮設の配電盤周辺は、放射線量が高く、アンテナなどの増設が進んでいなかった。

3.11でも基地局使えず

 二年前の事故発生当初も、PHS基地局が使えなくなり、免震重要棟にある現地対策本部は情報収集に困難を極めた。東電は通信手段を強化するとしてきたが、事故から二年たっても重要な課題が残る危うい現状が浮き彫りになった。
 東電によると、現場調査を担当する作業員と、免震重要棟の間はPHSで連絡を取っていた。1、3、4号機の使用済み核燃料プールや共用プール、高濃度汚染水の処理装置、格納容器の内部を監視する装置など九つの装置が一斉に止まり、広範囲で確認作業が必要になったが、仮設の配電盤周辺など一部でPHSが通じなかった。作業員は、通信可能なところまで移動して状況を報告しなければならなかった。
 東電の担当者は二十九日午前の原子力規制委員会の会合で「(二年前から)既存のアンテナや基地局を順次復旧させ、新設も進めているが、放射線量の高い地点では対応が後回しになっていた」と対応の遅れを認めた。
 冷却装置の停止で、プールの水温が危険なレベルに上昇するまで時間的な余裕はあったものの、対策本部では全体の状況が迅速につかめず、各装置の復旧方法の検討も遅れた。翌十九日午後になるまで、復旧作業の見通しを示せず、復旧には二十九時間かかった。
 今回の停電では、使用済み核燃料プールの冷却装置という重要設備の電源が、事故当初に設置した仮設の配電盤だったことも問題となった。廃炉まで三十~四十年かかるとされる中、ほかにも脆弱(ぜいじゃく)な点がないか、早急な洗い出しが求められている。

関連記事