【解説・福島第二原発廃炉】核燃料、廃棄物行き先ないまま

 東京電力が表明した福島第二原発の廃炉では、カギとなる数字が二つある。
 一つは「1万76体」。福島第二全4基の使用済み核燃料プールで保管する核燃料の数だ。小早川智明社長は「廃炉完了までに県外に全て搬出する」と福島県知事に明言した。プールよりも安全性が比較的高い貯蔵施設を新たに建設してひとまずは保管するというが、搬出先は「今後の検討」とするにとどめた。
 使用済み核燃料は国の核燃料サイクル計画で、再処理後に再利用する前提。だが、再処理工場は稼働が見通せず、どこの原発も搬出できないでいる。福島第二の敷地での永続的な保管となる懸念は消えない。
 もう一つは「5万トン超」。東電が廃炉で出ると見積もる放射性廃棄物の量だ。放射能汚染の程度が低いものは再利用が見込まれるが、大半は埋設処分の必要がある。この場所も決まっておらず、廃炉後に大量のごみが現地に残りかねない。
 東電は福島第一原発の事故収束という極めて難しい作業を抱え、経営再建中でもある。人と資金に余裕はない。そんな中で、小早川社長は2800億円かかるという福島第二の廃炉に「めどがついた」と言い切った。空手形は許されない。(小川慎一)

福島県庁で(右手前から)楢葉町の松本幸英町長、内堀雅雄知事、富岡町の宮本皓一町長と面会し、福島第2原発の全4基の廃炉を正式に表明した東京電力の小早川智明社長(左端)=24日午後

「やっと決まった」「ごみが残される」地元から安堵と不安の声

 東京電力が福島第二原発廃炉と核燃料貯蔵施設の建設を表明したことを受け、地元では7月24日「やっと決まった」との安堵(あんど)のの声と「『ごみ』が永久に残される」と将来への懸念が交錯した。
 

 第一原発事故で長期避難を強いられ、復興途上にある地元自治体にとって、廃炉に伴う原発関連交付金の減少は財政に打撃。地元は新施設受け入れの判断という新たな課題を突き付けられた。
 「最終的に核燃料をどこへ持っていくのか」と憤るのは、第二原発がある富岡町に住む無職横田周一さん(73)。「受け入れる自治体は全国どこにもないはず。『一時的な保管』などとごまかしてほしくない」と語る。
 東電は廃炉作業終了後に全て搬出すると説明したが、原発事故の風評被害を受ける地元住民にとっては従来の約束と違うとの思いは消えない。
 原発関連施設への拒否感がある一方で、町最大の産業がなくなることを憂慮する声も。第二原発が立地する楢葉町と富岡町には原発関連の交付金が年間約10億円それぞれに交付されてきた。廃炉申請の次年度から交付金は名目を変えた上で減り、10年後にゼロになる。
 富岡町の幹部職員からは「第一原発事故を受けた上での廃炉で通常の廃炉とは異なる。原発を推進してきた国は、これまで通りの資金的な支援をしてほしい」と本音が漏れた。
 両町は全町避難を経験し、復興の途上だ。楢葉町の無職峯久子さん(78)は廃炉決定に「事故が起きる心配がなくなる」と喜び、「町に若い人が増えてほしい」と希望を込めた。

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