2回目の公開 なお高線量 収束遠く

 炉心溶融事故から一年近く。東京電力が二十日、福島第一原発内を報道陣に公開した。昨年十一月に続く二回目。がれきの撤去が進み、循環式冷却の凍結対策が進むなど前進がみられたが、現場の放射線量は高く、厳しさをうかがわせた。(山川剛史)

周辺では屋根壊れた家、離れ牛…

 午前七時前、国内外の約三十社の記者とともに、JR常磐線広野駅から東電のバスに乗った。
 福島第一から二十キロ圏の警戒区域の境目にある作業拠点「Jヴィレッジ」で防護服を着用し、国道6号を北上。警戒区域に入ると、車窓から目に入るのは瓦のはがれた家々、放置され雑草が生い茂った田んぼ、離れ牛…。心が痛む。
 線量はじりじり上がり、福島第一に続く交差点に差しかかると、〇・〇二ミリシーベルトに。正門を抜け、最前線基地の免震重要棟で下車すると、〇・一ミリシーベルトとさらに一けた上がる。
 驚いていると、東電社員から「鉄板の上に移って!」と指示される。移ると線量は半減した。放射性物質がアスファルトの奥に入り込み、もはや除染できないため、入り口付近に鉄板を敷き線量を下げているという。
 作業員が行き交う免震重要棟内で、高橋毅所長が取材に応じ「しっかり腰を据えてやらねば」と語る。その後で全面マスクを着け、バスで構内を回る。
 最初のポイントは、高台の駐車場にある注水ポンプだ。原子炉を冷却する要だが、トラックの荷台にポンプを積んだだけのいたって簡単なものだ。
 氷点下の日が多いのに、総延長十数キロに及ぶホースは野ざらし。一月以降、凍結による水漏れが三十件以上も起きている。
 さすがに相次ぐトラブルを受け、ポンプはビニールでおおわれ、ホースはポリエチレン製のパイプに交換されていた。パイプには黒い保温材が巻かれ、整然と並ぶ。かなり改善された印象だ。
 「先月から必死に交換しました。ヘビがのたうち回ったようで、あれじゃ私たちも心配でした」と案内役。
 海側へ出ると、今も津波の跡が生々しい。3号機のタービン建屋前では、いきなり線量計の数値が一・五ミリシーベルトに跳ね上がる。広野駅前の五千倍だ。バスを降りたら、どれほど高いのか。予測はしていたが、不安になる。
 建屋の前を通り抜けて再び高台へ。1~4号機が一望できる。
 一番手前は水素爆発で壁が壊れた4号機の原子炉建屋。曲がった鉄筋にぶら下がっていた壁は撤去され、吹き飛んだ五階の骨組みも半分消えていた。
 十人ほどの作業員が動き回っているのが見える。がれきが片付けば、建屋の外側に骨組みを造り、建屋の上を渡る橋型のクレーンを設置する。使用済み燃料を引き上げて取り出すという。
 線量の高い3号機でも、無線操縦の重機によるがれき撤去が進んでおり、さらに大型の重機を支える土台づくりも始まっていた。
 現場を目の当たりにして、事故収束に向けて一歩一歩進む現場の努力は実感できた。ただ、溶融した核燃料の取り出しなど、本当に厳しい作業はこれからだ。収束への道のりの険しさも感じた。
 記者の外部被ばく量は、約三時間で〇・〇七ミリシーベルトだった。

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