大震災で70センチ地盤沈下 福島第一

 東京電力福島第一原発から汚染水が海に漏れる中、東日本大震災で敷地全体が約七十センチ地盤沈下したことが、大きな問題になっている。ほぼ均等に沈んだため、地下の設備に大きな損傷はないとされるが、高濃度汚染水の対策は、どれも海面との高低差を指標にして練られている。その基になる沈下した深さが、正確さに疑問符が付くためだ。(小野沢健太)
 東電は地震後の二〇一一年、人工衛星を使って敷地の高さを調べ、全体が最大で約七十センチ沈下したことを確認。場所によって沈下した深さが異なる「不同沈下」だと、ひどい場合には耐震性が高い施設でも損傷しかねないが、幸いにも不同沈下による被害は報告されていないという。
 ただ福島第一では海面からどれだけ高いか低いかという値を基準に、収束作業のほぼ全てを練っている。東電は「約七十センチの沈下」を前提にしているが、人工衛星による沈下した深さの測定は、汚染水の対策に必要な正確さがあるわけではない。
 海への汚染水の漏出問題では、地下水位は海面から二~二・五メートルの位置にあり、汚染水がたまるトレンチ(配管などを収めた地下トンネル)の上部は同四メートル、汚染水の通り道になりそうな浅いトレンチ下の砕石層は同二・五メートル。図面上はこんな位置関係にあるとされる。
 だが、沈下した深さが正確でないと、トレンチや砕石層が地下水に浸るなど、作業の前提が狂うことになる。
 建屋地下にたまる汚染水の漏出防止対策にも影響が出る。
 汚染水の水位を、地下水位より少し下に維持していれば、地下水が建屋に入り込もうとする力の方が少しだけ勝り、地下水の流入は抑えつつ、汚染水は建屋外に出ない-との方法で管理ができる。
 沈下した深さが正確に分からず、建屋と地下水の関係が実態とずれれば、大量の地下水流入で、汚染水がどんどん増えるという事態を招きかねない。
 このほか、地盤沈下により、建屋とトレンチ、トレンチ同士の継ぎ目などが損傷し、汚染水が漏れ出している恐れもある。
 建屋も海水配管トレンチも、それ自体の耐震性は高いが、ケーブルが入った小さなトレンチとの接合部などについては、東電も「損傷が起きている可能性は否定できない」と認識している。

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