原発の対テロ施設 完成まで稼働停止、最長2年半

 原発に航空機を衝突させるなどのテロ行為が発生した場合に、遠隔操作で原子炉の冷却を続ける設備などを備える「特定重大事故等対処施設」(特重施設)について、原子力規制委員会は24日の会合で、西日本の電力会社が求めていた完成期限延長を認めない方針を決めた。来年3月に期限を迎える九州電力川内(せんだい)1号機(鹿児島県)を皮切りに、運転できない原発が相次ぐことになる。(宮尾幹成)

西日本の5原発10基 施設設置は1〜2年半遅れる見通し

 関西、四国、九州の3電力は17日、山の切り開きやトンネル掘削などの大規模工事を理由に、稼働中を含む5原発10基で特重施設の完成が1〜2年半ほど遅れる見通しを示し、期限延長を認めるよう規制委に要請。川内1号機に続き、同2号機は来年5月、関西電高浜3号機(福井県)は来年8月、同4号機は来年10月に期限を迎える。5原発10基以外にも、九州電玄海3、4号機(佐賀県)の施設工事は2022年8~9月の完成期限までに終わらない見通しだ。
 運転中の原発が完成期限を迎えた場合、規制委は直ちに停止を命じる方針。停止期間は最長で2年半ほどになる。規制委の更田豊志(ふけた・とよし)委員長は「設置に手間取るのでもう少しと繰り返していたら、安全性の向上はとても望めない。『いつか来た道』に戻るかどうかの分かれ目だ」と指摘した。
 日本原子力発電東海第二原発(茨城県)は23年10月が期限だが、特重施設の設置許可申請が未提出で工事の完了見通しも示しておらず、期限には間に合わない可能性が高い。
 特重施設は東京電力福島第一原発事故を踏まえ、原発の新規制基準で設置が義務付けられた。当初は13年7月の新基準施行から一律5年で設置する必要があったが、審査の長期化を踏まえ、原発本体の工事計画認可から5年と変更された経緯がある。これまでに完成した施設はない。

特定重大事故等対処施設とは?

 意図的な航空機衝突などのテロ攻撃を受け原子炉が大規模に破壊された場合でも、遠隔操作で冷却を維持し、放射性物質の大量放出を防ぐための施設。緊急時制御室や予備の電源、冷却ポンプなどを備える。原子炉建屋との同時被災を避けるため100メートル以上離すよう定められているが、施設の詳細は秘密事項で、規制委の審査も非公開。

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