福島第一3号機、核燃料取り出し難関次々 高線量 遠隔操作頼み

 東京電力福島第一原発3号機で15日に始まった使用済み核燃料プールからの核燃料取り出しには、次々と難関が待ち受ける。炉心溶融(メルトダウン)と水素爆発を起こした原子炉建屋は放射線量が高く、ほぼ全ての作業は遠隔操作を余儀なくされるからだ。1、2号機でも同様の作業が控えており、3号機の成否が事故収束のカギを握る。(小川慎一)

訓練の成果

 「ゴールではなく、新たなスタートだ」。午前10時20分ごろ、第一原発内で報道陣の取材に応じた磯貝智彦所長は強調した。取り出し開始が当初計画よりも4年以上遅れたことを謝罪したものの、作業が順調に滑り出したことに明るい表情を見せた。
 核燃料の1体目を取り出して専用容器に移し替えるまで2時間半を見込んでいた。結果は、1時間の短縮に成功。東電廃炉推進カンパニーの大山勝義広報担当は「成功を祈願しに神社へお参りしたが、全ては訓練の成果」と言う。
 3号機原子炉建屋内でクレーンなど機器を動かしているのは、500メートル離れた免震重要棟の中だ。担当者5人がプール内にあるカメラの映像を頼りに、レバーを巧みに操作。昨年11月に始まるはずだった作業を機器の不具合により延期した間も、訓練を繰り返していたことが、功を奏した。

福島第一原発3号機建屋から500メートル離れた免震重要棟内で、遠隔操作により核燃料を取り出す担当者ら(代表撮影)

無数のがれき

 初日は大きなトラブルもなく進んだ。ただ15センチ四方、長さ4.5メートル㍍の核燃料を、さほど隙間のない専用容器に遠隔操作で差し込むのは難しいという。「通常は現場で(間近に)見ながら作業する」と大山氏。線量が低く、人が建屋内に入って作業した4号機では、1535体もの核燃料を1年程度で取り出すことができた。しかし、3号機では566体の取り出しに2年はかかる。
 プール内には水素爆発の影響で、小石状の無数のがれきが散乱。核燃料を取り出す際にがれきがひっかかり、持ち上げられない可能性がある。アーム型機器でがれきを取り除いても燃料棒が上がらない場合、いったんあきらめて次に挑む。持ち上げられない核燃料が増えれば、計画の見直しを迫られる。

ノウハウ蓄積

 プールからの核燃料取り出しは、リスク軽減への重要な1歩。事故で1~3号機の原子炉内に溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しという最難関の作業の前に、一刻も早く片付けておく必要がある。しかし1、2号機は、3号機よりも線量が高く、いっそう厄介な現場だ。
 特に1号機は建屋最上階に、元々備え付けられていたクレーンなど大きながれきが積み重なり、撤去が難航。原子炉格納容器上の放射線を遮るコンクリート製の巨大なふた(重さ500トン超)がずれ落ちてもいる。ふたを元に戻さなければ、3号機のような取り出し機器を設置できず、別の方法を検討せざるを得ない。
 一方、水素爆発を免れた2号機は放射性物質がこもり、取り出し機器設置のために解体が必要な建屋上部は、事故から8年が過ぎた今でも毎時100ミリシーベルトを超える。30分で作業員の年間被ばく限度に達するレベルで、除染や放射線対策が先になる。
 準備段階から困難の伴う1、2号機だが、2023年度にプールからの核燃料取り出し開始を計画。3号機とは別の方法で挑む可能性もあるとはいえ、遠隔操作のノウハウ蓄積は今後の作業に不可欠となる。

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