福島第一原発3号機、プールからの核燃料搬出着手 溶融機で初、難航必至

 東京電力は15日、福島第一原発3号機の原子炉建屋上部にある使用済み核燃料プールから、冷却保管中の核燃料の取り出しを始めた。事故から8年、炉心溶融(メルトダウン)を起こした1~3号機でプールからの核燃料取り出しは初めて。現場は放射線量が高く人が長時間いることができない。ほとんどの作業が遠隔操作であるため、難航することが予想される。

燃料取扱機で持ち上げられる核燃料。モニター画面ではプール内に小さながれきが多く確認できる=15日、福島県大熊町の東京電力福島第一原発で(小川慎一撮影)

 3号機プールには、使用済みと未使用の核燃料計566体を保管。使用済み核燃料は長期間、強い放射線と熱を発するため、水中で冷やしている。東電は4月中に未使用の7体を取り出し、6月下旬から作業を本格化させる方針。核燃料は敷地内の共用プールに移す。取り出しを終えるまでに約2年かかる見込み。
 作業は午前8時半すぎに開始。建屋から500メートル離れた免震重要棟内の操作室で、作業員がモニターの画面を見ながら取り出し機器を操作した。燃料取扱機で核燃料を1体(長さ4.5メートル、15センチ四方、重さ約250キロ)ずつ持ち上げ、水中に置いた専用容器(重さ約46トン)に7体入れる。1体を入れるのに2、3時間かける。1体目は、1時間半ほどで容器に入れることができた。この日は未使用の核燃料4体を専用容器に移した。
 東電によると、2体目の核燃料を燃料取扱機のアームで専用容器に移した際に1時、アーム部分が核燃料の取っ手に引っかかる操作ミスがあったものの、大きなトラブルにはならなかった。
 その後、容器をクレーンで30メートル下の1階に下ろし、トレーラーで共用プールに運び出す予定。

 3号機の核燃料取り出しは当初、2014年末にも始める計画だったが、高線量が作業の壁となった。外部に放射性物質が飛び散らないよう、建屋上部にドーム型カバーを設置。東電は昨年11月に取り出しを始める計画を示したものの、クレーンなどの機器に不具合が相次ぎ、点検や部品交換のため延期していた。
 4号機では、14年末にプールから核燃料1535体を取り出し済み。地震発生時は定期検査で停止中で原子炉内に核燃料がなく、炉心溶融を免れた。水素爆発で建屋上部が吹き飛んだが線量は低く人が中で作業して1年程度で終えた。

3号機の使用済み燃料プール内で、燃料(右上)を輸送容器に収納する様子

【解説】1、2号機の作業に影響

 福島第1原発3号機のプールからの核燃料取り出し作業は、同じく炉心溶融が起きた1、2号機の核燃料取り出しの行方を左右する。いずれも建屋内の放射線量が高く、人が中で長時間作業できず、遠隔操作で進めざるを得ないからだ。
 3号機プール周辺の線量は毎時540マイクロシーベルトで、2時間で一般人の年間被ばく線量限度に達するレベル。プールに残る細かな汚染がれきを、アーム型機器で取りながらの作業だ。クレーンなどでトラブルが起きれば、人が建屋内で修理しなければならない。これら未経験の作業をこなし、ノウハウを積む必要がある。
 東電は1、2号機のプール内の核燃料取り出しを2023年度に始める計画を立てたが、両号機は3号機よりも線量が高く厄介だ。
 特に1号機は建屋最上階に大きながれきが積み重なり、原子炉格納容器上のコンクリート製の巨大なふたがずれ落ちている。ふたのずれを1に戻さなければ、3号機同様の取り出し機器は設置できない。
 1号機は392体、2号機は615体の核燃料がプールに残る。これらを高台の共用プールに移すことはリスク軽減のため不可欠。ただ3号機の作業次第では、1、2号機の取り出し計画の大幅な見直しが迫られる。 (小川慎一)

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