4号機で使用済み核燃料の取り出しスタート でも、まだ廃炉の入り口

 東京電力福島第一原発4号機の使用済み核燃料プールで十八日、千五百体超の核燃料を取り出す作業が始まった。損傷した建屋から危険物がなくなれば、4号機の心配は必要なくなる。重要な一歩とはいえ、事故収束を意味する廃炉全体の工程からすれば、まだ入り口に立ったばかりだ。 (山川剛史、清水祐樹)

デマ飛んだ4号機 核燃料なくなればリスクは低減

 二〇一一年三月の事故発生当初、水素爆発で損傷した4号機の原子炉建屋からもうもうと水蒸気が上がった。
 もし水が干上がり、核燃料が過熱し、おびただしい放射性物質が放出されれば、原発は手がつけられなくなり首都圏も壊滅的な被害を受けるとされた。
 地上約三十メートルの原子炉建屋上部まで直接放水できる重機が投入され、最悪の事態は避けられた。だが、壁が吹き飛んだ建屋の上部に大量の核燃料がある脅威は大きい。ネット上では、「4号機の建屋が傾いた」などのデマが何度も流れた。
 そんな4号機から核燃料がなくなれば、大きくリスクが減るのは確かだ。
 「核燃料の取り出し作業は、三十~四十年かかる廃炉作業における重要なステップの一つと考えている。汚染水への対応も含め、廃炉を安全かつ着実に進めていく」
 この日、東電は広瀬直己(なおみ)社長のコメントを動画で公表、作業が新たな段階に入ったと強調した。

手つかずの1~3号機 使用済みのほか溶融核燃料もそのまま 前例ない難題

 ただし忘れてはならないのは1~3号機のプールにも、4号機とほぼ同数の計千五百七十三体もの核燃料が残っていることだ。これらの取り出し計画は白紙に近い。
 メルトダウン(炉心溶融)を起こした1~3号機の原子炉建屋内は、いずれも放射線量が高く、作業を困難にしている。
 東電は、建屋が大破して危険性の高い3号機を優先し、無人の重機を使って建屋内の除染を進める方針。ただし、現時点ではとても人間が立ち入れないような線量で、相沢善吾副社長も「線量が下がるかどうかやってみないと分からない」と厳しさを認めている。
 最も古い1号機は、放射性物質の飛散を防ぐため、建屋をカバーで覆ったが、散乱したがれきは手付かず。カバーを解体してがれきを撤去する予定だが、肝心の核燃料をどう取り出すかは未定だ。
 建屋が健全な2号機は、逆に建屋が作業の邪魔で、外部から大型重機を使った作業ができずにいる。事故発生当初、建屋内は高濃度に汚染された水蒸気がたちこめ、特に格納容器の上部は3号機同様に人間が近寄ることのできない線量だ。
 全ての号機のプールにある核燃料の取り出しに成功しても、事故収束にはまだ遠い。1~3号機の原子炉内に溶け落ちた状態で残る核燃料の取り出しという、世界でも前例がない難題が残る。
 取り出しには、損傷した格納容器を修復して水を張り、放射線を遮る必要があるが、損傷場所の特定もできていない。
 さらに、廃炉で生じる高レベル放射性廃棄物の処分という難関も待ち構え、真の収束への道のりはまだ遠い。

つり上げられる使用済み核燃料入りの輸送容器(東京電力提供)

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